ユーザ用ツール

サイト用ツール


software:python

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

次のリビジョン
前のリビジョン
software:python [2023/06/02 21:51] – 作成 ogasoftware:python [2023/06/02 22:42] (現在) – [共有可能な Python の実行環境] oga
行 1: 行 1:
-====== Python の実行環境 ======+====== 共有可能な Python の実行環境 ====== 
 + 
 +Python で作成したツールをチーム内で共有する場合、コンパクトな Python 実行環境をセットにしておくと便利です。 
 + 
 +また複数台の PC を開発に使用している場合も、それぞれの PC でインストーラーを使って Python をインストールしておくのはなかなか大変です。 
 +簡単にコピーして共有可能な、ポータブルな Python 実行環境の作り方を解説します。 
 + 
 + 
 + 
 +===== A. 通常の Python をそのまま使用する場合 ===== 
 + 
 + 
 +  - [[https://www.python.org/downloads|公式サイト]]からダウンロードできる Windows の通常の python インストーラーを使います 
 +    * 例: python-3.9.9-amd64.exe 
 +      * バージョンは解説作成時のものなので最新のものを選んでください 
 +  - 「Install launcher for all users (recommended)」のチェックを外します (**←非常に重要!!**) 
 +    * このチェックが入っていると dll ファイルが C:\Windows 以下にインストールされてしまいます。必ず外しておいてください 
 +  - 「Customize installation」を選びます 
 +  - 「Documentation」「Python test suite」「py launcher」「for all users」のチェックを外します 
 +    * tkinter による GUI が不要な場合は「tcl/tk and IDLE」のチェックも外すことができます 
 +    * 「pip」のチェックは入れておいてください 
 +  - インストール先を選択します 
 +    * 説明のため、インストール先を D:\Python39 としておきます 
 +  - あとはそのまま install します 
 +  - インストールが完了したら、コマンドラインから pip3 コマンドを使って任意の package を追加します 
 +    * 例: pip3 install numpy 
 +    * もしパスが通っておらず pip3 コマンドを実行できない場合は、D:\Python39\Scripts をパスに追加しておいてください 
 + 
 +これでポータブルな Python フォルダが出来上がったので、例で作成した D:\Python39 フォルダをそのまま別の PC にコピーして使うことができます。 
 +パスは D:\Python39 と D:\Python39\Scripts の二箇所通しておけば OK です。 
 + 
 +なお <nowiki>__pycache__</nowiki> フォルダや *.pyc のファイルは不要なので、共有時は除外しておくことをおすすめします。 
 + 
 +この方法は簡単に準備できますが、必要なファイル数が 4000以上と非常に多くなります。 
 +ファイル数が多いとコピーや同期に時間がかかるため、よりコンパクトな環境を作成したい場合は組み込み版 Python を使うことができます。 
 + 
 +===== B. 組み込み向け Python を使用する方法 ===== 
 + 
 +  - 先に A. の手順を参考にして通常の Python をインストールしておいてださい。 
 +  - [[https://www.python.org/downloads|公式サイト]]から A. でインストールした Python と全く同じバージョンの embeddable package をダウンロードしてください 
 +    * 「Windows embeddable package (64-bit)」と書かれています 
 +    * 例えば Python 3.9.9 なら、ダウンロードしたファイルは  python-3.9.9-embed-amd64.zip になります 
 +      * 必ず A. でインストールした通常版の Python と同一のバージョンを選択してください 
 +  - ダウンロードしたファイルを展開してください 
 +    * 解説のため、展開したフォルダを D:/Python39emb にしておきます 
 +  - フォルダの中にある python39._pth ファイルを編集します 
 +    * 以下のように、最後に 2行「.」と「import site」を追加してください 
 +    * <code> 
 +python39.zip 
 +
 +Lib 
 +import site 
 +</code> 
 +  - 展開したフォルダの中に Lib\site-packages フォルダを作っておきます 
 +    * D:\Python39emb\Lib\site-packages 
 +  - A. でインストールした通常版 Python のフォルダから、pip module をコピーします 
 +    * D:\Python39\Lib\site-packages の中に pip で始まるフォルダが 2つあるので、それを組み込み版 Python の D:\Python39emb\Lib\site-packages\ 以下にそのままコピーしてください 
 +  - これで組み込み版 python でも pip コマンドが使えるようになったので、任意の package を追加することができます 
 +    * pip.exe (pip3.exe) は存在しないので、python.exe に「-m pip」を指定して実行します 
 +    * <code> 
 +D:\Python39emb\python.exe -m pip install numpy 
 +D:\Python39emb\python.exe -m pip list 
 +</code> 
 +  - もし組み込み版 Python でも tkinter による GUI を利用したい場合は、以下のように必要なファイルをコピーしておいてください (tkinter による GUI が不要なら飛ばしてください) 
 +    * D:\Python39\Lib\tkinter\*  を  D:\Python39emb\Lib\ 以下にコピー 
 +    * D:\Python39\tcl\*          を  D:\Python39emb\  直下にコピー 
 +    * D:\Python39\DLLs\_tkinter.pyd   を    D:\Python39emb\  直下にコピー 
 +    * D:\Python39\DLLs\tcl86t.dll     を    D:\Python39emb\  直下にコピー 
 +    * D:\Python39\DLLs\tk86t.dll      を    D:\Python39emb\  直下にコピー 
 +  - これで組み込み版 Python をそのまま利用できるようになります 
 +    * 通常版 Python と違いファイル数が圧倒的に少なく、圧縮されているため消費容量も抑えることができます 
 + 
 +pip module をコピーするかわりに、通常版 Python から必要な module だけコピーすることもできます。 
 +この場合 pip module が不要になります。 
 + 
 + 
 + 
 + 
 + 
 + 
 + 
  
  
  
software/python.1685710315.txt.gz · 最終更新: 2023/06/02 21:51 by oga

Donate Powered by PHP Valid HTML5 Valid CSS Driven by DokuWiki